「祝福の絵」


ケーキを描き始めた頃、それはただの遊びだった。



コロナ禍で人とのつながりが希薄になった時、遊びで描いた誕生日ケーキの絵が、元気を失っていた一人の人を笑顔にした。


その経験を通して絵を描くことは技術ではなく、言葉の代わりに人に寄り添えるものだと思った。

 


「君はただケーキを描いているんじゃない。命を描こうとしているんだ」

と言われたことがある。

 

僕のケーキの絵は「生命賛美」だ。

 

生きていると苦しいことやつらいこともある。

それでも息をして、気温を感じ、今日を生きている。

当たり前のようでいて、ふと

「生きているな」

と実感する瞬間がある。

 

生きているだけでも素晴らしいことだと思う。

だから僕は一枚一枚、

生きていることを讃える絵を描いていたい。


「おめでとう」と言葉を交わすことは、

その人の歩みや努力を讃え、

生きていることそのものを喜ぶ行為だと思う。


誕生日はその象徴のような日。

一年に一度、この世界に生まれてきたすべてのものへ訪れる。


私は不器用な手で、

クリームとスポンジを重ね、

君と過ごした日々を重ねていく。


ロウソクを立て、

祝福の言葉をのせ、

歌をうたい、

一年に感謝し、

また新しい一年を迎える。


キャンドルの灯りが喜びを照らし、

笑顔があふれる幸せな時間。


──さあ、お祝いしよう。


この絵は、生きているすべての人を祝う「祝福の絵」でありたい。



島田直季
ケーキ描く人
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